大麻はアサ科アサ属の一年生の植物(学名カンナビス・サティバ・エル)です。生命力が強く、4ヶ月で3〜4mに達し、茎の太さは数センチにもなります。古来より日本の文化に根差しながらも、枯渇性資源(石油や森林等)の代替資源としても注目される“最古で最先端の植物”それがヘンプです。
ヘンプ(大麻)は古来より日本人の生活に根付いていました。縄文時代の遺跡(福井県鳥浜貝塚)から麻縄が出土した例もあります。糸や紐、衣類や食用のほか、穢れを祓う聖なる植物として横綱が身につける化粧まわしや注連縄(しめ縄)や神事等に使用されています。
■伝統的な麻の葉模様
日本には生まれてきた赤ちゃんに麻の葉模様の産着を着せる風習がありました。死亡率の高かった昔、生命力の強い「麻」のように健やかに成長してほしいという願いや、魔除けの意味が込められていたのです。
ヘンプは茎、種、葉、花穂、根・・全ての部位を有効的に活用できる植物です。農薬・肥料・除草剤なしでぐんぐん成長し、やせた土壌をも改良します。ヘンプの栽培は地球環境への負荷が少なく、むしろプラスに働きます。SDGs(持続可能な開発目標)への取り組みが叫ばれている現代においては、枯渇性資源(石油や森林等)の代替資源としてサスティナブル(持続可能)な循環型社会の構築への貢献が期待されている、エコでエシカルな地球にやさしい植物です。
ヘンプの繊維には小さな穴が無数にある(多孔性繊維)ため、水分をすばやく吸い上げ、拡散し、水分の蒸発を促進します。そのため夏は涼しく冬は暖か。さらっと爽やかで蒸れません。抗菌/消臭作用にも優れ、臭いの原因となる雑菌の繁殖を防ぎ、清潔に保ってくれるため衣類や寝具に最適です。
■ヘンプ・リネン・ラミーの違いは?
麻にはヘンプ、リネン、ラミー・・と種類があります。ヘンプは大麻を示し、リネンは亜麻(あま)、ラミーは苧麻(ちょま)を示します。それぞれ繊維の様子が異なるため肌触りや強度などに違いがあります。
麻の実には人間のからだに不可欠な栄養素が豊富に含まれています。現代人に不足しているたんぱく質、必須脂肪酸(オメガ3・オメガ6)、鉄・銅・亜鉛・マグネシウムなどの栄養がバランス良く含まれ、稀少なGLA(ガンマ・リノレン酸)も含有。栄養のバランスの良さから「スーパーフード」として注目されています。
■ ヘンプ(大麻)はなぜ、禁止されたの?
「大麻=麻薬、危険なもの」と認識されている人も多いと思いますが、日本で大麻が禁止されるようになったのは戦後のこと。GHQによるものです。その経緯については諸説ありますが、一説では大麻のもつ大きな力を封じることにより日本の国力を弱めるためだったのではないかともいわれています。
もともと「麻」の地名が多い日本は、世界有数の大麻国であり、その歴史は縄文時代にまで遡り、世界最古の大麻文明国でした。戦前まで大麻は医療に用いられるほか、繊維や食糧の貴重な資源として政府の推奨のもとでさかんに栽培されていました。これらはすべて昭和23年7月10日施行の大麻取締法で一変します。大麻取締法の施行前には約19500あった麻農家が、法律の施行後3年で50にまで激減したともいわれます。
こうして人々の生活から消えた大麻ですが、近年ではその可能性が世界的に再注目される流れとなっています。
■ CBD(カンナビジオール)とは?
大麻(ヘンプ)などに含まれる成分で、身体のさまざまな機能を正常な状態に調整する働きがあると考えられています。安全性が高く副作用が少ないことが研究によって確認されており、健康食品や化粧品成分としても流通するほか、医療分野での活用が期待されています。